剣の衰退を嘆く
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剣の道を辿ると
戦国時代には殺すことが剣の道だったと言える。
それならば、江戸時代は?
江戸時代、主に帯刀していた者は、国(藩)の為に尽くす『公務員』の役割をしていた武家か、無法に生きる浪人・野武士達であった。
戦国時代から江戸時代に移行する時、農家出身の身でありながら、自ら浪人の道を歩み、剣の道……いや、剣の心を極めようとした者がいた。
それが、私である。
私は、関ヶ原の戦いに参加し、戦国時代の終わりをその目に見ていた。
江戸時代の始まりは、国盗り合戦が許されなくなり、もし仮に、徳川の首を取る者がいたとして、その者は天下を取れたであろうか?
答えは、否である。
その理由については数多くの説があり、また一個人の手記では手に余る話題であるので、興味ある人は各々で調べてもらえればと思う。
(教科書などでもここの理由を書いているのがないことを考えると、いかに難解な問題であるかは分かるだろう)
ここでは、天下を流れる時勢の流れだと解釈して欲しい。
切るべきものを失ってしまった剣は、地位の誇示、または脅迫の道具として貶められてしまったのだ。
私はこの事に嘆き、剣の心を探ることを決心。これが旅を続けている理由である。